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「スクラップ・アンド・ビルド」に想う

  • 執筆者の写真: sugi220513
    sugi220513
  • 2017年1月6日
  • 読了時間: 2分

大切な時間

昨年12月に羽田圭介さんの話題作「スクラップ・アンド・ビルド」(芥川賞受賞)がドラマ化されましたが、ご覧になられましたか?

本を読まれた方も多いと思いますが、私は気になりつつも読んでいなかったので、ドラマ化はとても嬉しく思いました。

TVに登場する羽田圭介さんはファンキーで風変わりに見えるので、小説も理解しがたい難しいものなのでは?と勝手に想像していたのですが、とても身近なテーマで優しい気持ちにもなりました。

主人公の健斗(28歳)は「死にたい」が口ぐせの祖父(87歳)の尊厳死を企てるのですが、祖父の娘(健人の母)は父親が寝たきりにならないように、あえて自分の事は自分でさせる!と厳しく接しています。

ドラマの中で、健斗は祖父を弱らせる為に電動ベッドを用意してあげる、そしてそれに良い顔をしない母、というシーンがあったのですが、ハッとしました。

実は実家で一人暮らししている私の父(79歳)も膝に痛みがあり「布団をベッドに変えようと思っている」と言っていたからです。

その話を聞いてから、私はずっと父のベッドの事が気になっていました。

ちゃんと部屋にあったサイズの物を選べるんだろうか?

どうせ買うなら、将来の事を見込んで電動付きのしっかりしたベッドが良いのでは?

介護を連想させるからそれは酷かな?

でも、一人暮らしだし介護とまではいかなくても電動付きなら風邪をこじらせた時とか色々と便利なのでは?

等など。

子供でもお年寄りでも、何でもやってあげれば良いってものでは無いこと位、分かっていたつもりではいましたが、分かっていなかったのか、、、?

将来にこだわり過ぎて、今をおろそかにした考え方だったのかなぁと、ちょっと考えてしまいました。

かと言って、ベッドは要らないだろうとか、父がそれなりに選ぶだろうから考えなくても良いんだ!とか、すっきりした答えが出た訳でもないんですが。

羽田圭介さんは以前から小説について、

「読んでいる間に読み手が何かに思いをめぐらせ、何かを考える。それで人間的に”成長”するわけではないし、”成果”を求めるのも間違いだ。ただ優れた本は、読み手の生活に別の角度から光を当ててくれる」

と話しているそうです。

まさに、私も別の角度から光を当ててもらった気がしました。

答えが見つからなくても、考えてみることが生きる事を豊かにしてくれるのかも知れませんね。

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